キャッシュレス決済は全国で広がっていますが、住んでいる地域によって利用状況にはかなり差があることが分かりました。
2024年の「全国家計構造調査」をもとに算出された都道府県別のキャッシュレス支払割合では、全国平均は37.8%。最も高い東京都は44.3%だった一方、宮崎県は23.3%で、約2倍の差があります。
ただし、この数字は「キャッシュレスを使っている人の割合」ではありません。1世帯の1カ月の支出のうち、対象となるキャッシュレス決済がどれくらい占めているかを示したものです。
この記事では、キャッシュレス決済の比率はどれくらいなのか、東京都と地方でなぜ差が生まれるのか、現金との違い、メリット・デメリットまで整理します。
キャッシュレス決済の全国平均は37.8%
一般社団法人キャッシュレス推進協議会が、総務省の2024年「全国家計構造調査」をもとに算出したところ、全国のキャッシュレス支払割合は平均37.8%となりました。
この調査は、全国から無作為に選ばれた約9万世帯を対象に実施されたものです。
調査対象の世帯が実際に購入した商品やサービスについて、どのような方法で支払ったのかを家計簿に記録しています。
そのデータを使い、都道府県別にキャッシュレスで支払われた割合を比較しています。
東京都44.3%、宮崎県23.3%で約2倍の差
都道府県別で最もキャッシュレス支払割合が高かったのは、
東京都:44.3%
でした。
東京都のほか、神奈川県、愛知県、兵庫県などでも4割を超える水準となっています。
一方、低い地域では、
宮崎県:23.3%
鹿児島県:24.4%
などとなっており、東京都と宮崎県では約21ポイントの差があります。
割合で比べると、東京都は宮崎県の約1.9倍です。
つまり、「日本ではキャッシュレス化が進んでいる」と一括りにしても、実際には地域によって利用状況がかなり異なります。
なぜ地域によってキャッシュレス比率が違う?
今回のデータだけで「この原因で差が生まれた」と断定することはできません。
ただし、地域によってキャッシュレスの利用環境や消費行動が異なることが影響している可能性があります。
高齢者の割合
キャッシュレス決済の利用状況には、地域の年齢構成が影響している可能性があります。
スマートフォンを使ったコード決済などは若い世代や現役世代で利用しやすい一方、現金を中心に使ってきた高齢者では現金払いを続ける人もいます。
そのため、高齢者人口の割合が高い地域では、キャッシュレス化の進み方が異なる可能性があります。
よく利用する店の違い
コンビニ、スーパー、ドラッグストア、ショッピングモールなどでは、キャッシュレス決済を使える店舗が増えています。
一方、個人商店や小規模店舗などでは、現金のみという店も残っています。
普段どのような店舗を利用するかによっても、キャッシュレス決済を使う機会は変わります。
店舗側の導入環境
キャッシュレス決済を普及させるには、利用者だけでなく店舗側にも決済端末や通信環境などが必要です。
店舗にとっては、
決済端末の導入
決済手数料
入金までの期間
機器やシステムの管理
なども考える必要があります。
そのため、地域によってキャッシュレス対応店舗の広がり方に差が生まれる可能性があります。
「全国37.8%」と「日本のキャッシュレス比率58%」はなぜ違う?
ここは特に注意したいポイントです。
経済産業省が公表している2025年の日本のキャッシュレス決済比率は58.0%です。
「全国平均37.8%なのに、なぜ58%なの?」と思う人もいるでしょう。
これは、調査方法とキャッシュレスの定義が異なるためです。
今回の都道府県別37.8%は、2024年の全国家計構造調査をもとに、
クレジットカード
掛払い・月賦
ポストペイ型電子マネー
プリペイド型電子マネー
などが家計支出に占める割合を算出しています。
一方、調査上はデビットカードや口座間振込などが、この都道府県別キャッシュレス割合には含まれていません。
また、QRコードなどのコード決済も、最終的にどの支払方法を選択したかによって分類されるため、すべてがキャッシュレスとして計上されるとは限りません。
そのため、
37.8%と58.0%は同じ指標ではなく、単純比較できません。
キャッシュレスのニュースを見るときは、「何をキャッシュレスとして計算した数字なのか」を確認することが大切です。
キャッシュレス決済にはどんな種類がある?
キャッシュレス決済といっても、方法はいくつかあります。
代表的なのは、
クレジットカード
デビットカード
電子マネー
QR・コード決済
です。
クレジットカードは商品を購入した後にまとめて支払う後払い方式です。
デビットカードは買い物と同時に銀行口座から代金が引き落とされます。
SuicaやPASMO、WAON、nanacoなどの電子マネーには、あらかじめチャージして使うタイプがあります。
PayPayなどに代表されるコード決済では、スマートフォンを使って支払います。
同じキャッシュレスでも仕組みが異なるため、自分の生活に合った方法を選ぶことが重要です。
キャッシュレス決済のメリット
キャッシュレス決済にはいくつかメリットがあります。
現金を持ち歩く必要が減る
財布に多額の現金を入れておく必要がなくなります。
コンビニやスーパーなどで少額の買い物をするときも、カードやスマートフォンだけで支払うことができます。
支払いが早い
現金のように紙幣や硬貨を出して、お釣りを受け取る必要がありません。
タッチ決済や電子マネーなら短時間で支払いを終えられます。
利用履歴を確認できる
キャッシュレス決済では、アプリやカードの利用明細から支払履歴を確認できます。
「いつ、どこで、いくら使ったか」を把握しやすいため、家計管理にも利用できます。
ポイントが付く場合がある
クレジットカードやコード決済では、利用金額に応じてポイントなどが付与される場合があります。
同じ金額を支払うなら、ポイント還元を家計の節約につなげることもできます。
キャッシュレス決済のデメリット
便利な一方で、注意点もあります。
お金を使った感覚が弱くなる
現金は財布からお金が減るため、支出を実感しやすいという特徴があります。
キャッシュレスでは支払いが簡単な分、使った金額を意識しにくくなる人もいます。
キャッシュレス=必ず節約になるわけではありません。
利用明細を定期的に確認することが大切です。
使えない店舗もある
キャッシュレス対応店舗は増えていますが、すべての店で利用できるわけではありません。
現金しか使えない店舗もあるため、完全に現金を持たずに生活するのが難しい地域もあります。
通信障害や停電の影響を受けることがある
スマートフォン決済や決済端末は通信環境や電力を利用します。
大規模な通信障害や停電、スマートフォンの電池切れなどで利用できなくなる可能性もあります。
そのため、災害への備えとして一定額の現金を持っておくことにも意味があります。
現金派が多い地域は遅れている?
キャッシュレス割合が低いからといって、その地域が単純に「遅れている」と考える必要はありません。
人口構成、店舗の種類、交通手段、生活圏などは地域によって大きく異なります。
現金には、
どこでも使いやすい
通信障害の影響を受けにくい
使った金額を把握しやすい
というメリットもあります。
重要なのは「現金かキャッシュレスか」の二択にするのではなく、それぞれの長所を理解して使い分けることです。
キャッシュレス決済は今後さらに増える?
日本全体ではキャッシュレス決済の利用は拡大しています。
経済産業省によると、2025年のキャッシュレス決済比率は58.0%となりました。
政府は2030年までにキャッシュレス決済比率を65%とする中間目標を掲げ、将来的には80%を目指しています。
そのため、日本全体では今後もキャッシュレス化が進む可能性があります。
一方で、今回の都道府県別データを見ると、全国一律に同じ速度で広がっているわけではありません。
今後の課題の一つは、地域による利用環境の差をどのように縮めるかになりそうです。
よくある質問
日本のキャッシュレス決済比率は何%ですか?
指標によって異なります。
今回の2024年全国家計構造調査をもとにした都道府県別の支払割合では全国平均37.8%です。
一方、経済産業省が公表している2025年のキャッシュレス決済比率は58.0%です。
計算方法が異なるため、単純に比較することはできません。
キャッシュレス決済の割合が最も高い都道府県は?
今回の調査では東京都の44.3%が最も高くなっています。
キャッシュレス割合が低い県は?
今回の調査では宮崎県が23.3%となっており、東京都との間には約2倍の差があります。
キャッシュレス決済には何がありますか?
クレジットカード、デビットカード、電子マネー、QR・コード決済などが代表的です。
ただし、統計によってキャッシュレスとして集計する決済方法の範囲は異なります。
キャッシュレスと現金はどちらがいい?
どちらか一方が必ず優れているわけではありません。
キャッシュレスは支払いや家計管理が便利な一方、現金は通信障害や災害時にも使いやすいというメリットがあります。
自分の生活環境に合わせて併用するのが現実的です。
まとめ|キャッシュレスは全国平均37.8%、地域によって約2倍の差
2024年の全国家計構造調査をもとに算出されたキャッシュレス支払割合は、全国平均37.8%でした。
都道府県別では、
東京都:44.3%
宮崎県:23.3%
となり、約2倍の差があります。
地域差には人口構成や店舗の種類、キャッシュレスを利用できる環境など、さまざまな要因が関係している可能性があります。
また、今回の37.8%と経済産業省が公表する日本全体のキャッシュレス決済比率58.0%は、計算方法が異なる別の指標です。
「キャッシュレス比率○%」という数字だけを見るのではなく、どのような調査で、何をキャッシュレスとして計算しているのかまで確認することが重要です。
今後日本全体のキャッシュレス化が進んでも、地域による利用環境の違いは残る可能性があります。
現金とキャッシュレス、それぞれのメリットを理解し、自分の生活に合った方法を選ぶことが大切です。


