退職金の平均はいくら?大企業・中小企業・勤続年数で比較

「自分は退職金をいくらもらえるのだろう?」と気になる人は多いでしょう。

厚生労働省の「令和5年就労条件総合調査」では、大学・大学院卒の管理・事務・技術職が定年退職した場合の1人平均退職給付額は1,896万円でした。

ただし、この1,896万円は「会社員全員の平均」ではありません。

対象は、退職給付制度がある企業で、勤続20年以上かつ45歳以上の退職者です。さらに会社規模、勤続年数、学歴、退職理由、会社の退職金制度によって金額は大きく変わります。

※本記事は2026年8月時点で確認できる厚生労働省・東京都の公表資料をもとにしています。

退職金の平均は1,896万円

厚生労働省の令和5年就労条件総合調査によると、定年退職者の平均退職給付額は次のとおりです。

学歴・職種定年退職の平均退職給付額
大学・大学院卒(管理・事務・技術職)1,896万円
高校卒(管理・事務・技術職)1,682万円
高校卒(現業職)1,183万円

大学・大学院卒では約1,900万円ですが、高校卒の現業職では約1,200万円となっており、学歴や職種によっても差があります。

ここでいう「退職給付額」には、退職一時金だけでなく、退職年金制度がある場合の年金現価額も含まれます。

そのため、

「平均1,896万円=退職時に現金1,896万円を一括でもらえる」

という意味ではありません。

退職金は15年前より384万円減っている?

厚生労働省の平成20年調査では、大学卒の管理・事務・技術職で定年退職した人の平均退職給付額は2,280万円でした。

令和5年調査では1,896万円なので、同じ名称の区分の公表値を比べると、

2,280万円-1,896万円=384万円

低くなっています。

ただし、これは「すべての会社員の退職金が384万円減った」という意味ではありません。

調査時点や対象企業、退職給付制度の構成なども変化しているため、長期的な傾向を見るための参考値として考えるのがよいでしょう。

勤続年数で退職金はいくら変わる?

退職金では、勤続年数の差が非常に大きいのが特徴です。

厚生労働省の調査で、大学・大学院卒(管理・事務・技術職)の定年退職者を勤続年数別に見ると、次のようになっています。

勤続年数平均退職給付額
20~24年1,021万円
25~29年1,559万円
30~34年1,891万円
35年以上2,037万円

20~24年と35年以上では、平均で1,000万円以上の差があります。

つまり、「退職金の平均はいくら?」と検索して1,896万円だけを見ても、自分の勤続年数によってはかなり違う可能性があります。

自己都合退職だと退職金は少なくなる?

退職理由によっても金額は変わります。

大学・大学院卒(管理・事務・技術職)の平均退職給付額は、

退職理由平均退職給付額
定年1,896万円
会社都合1,738万円
自己都合1,441万円
早期優遇2,266万円

となっています。

この調査では、自己都合退職は定年退職より約455万円少なく、早期優遇退職は定年より高くなっています。

もちろん実際の計算方法は会社ごとに違いますが、

「同じ勤続年数なら退職理由に関係なく同額」

とは限りません。

大企業と中小企業ではどれくらい違う?

大企業と中小企業では、まず退職給付制度そのものの導入率に差があります。

厚生労働省の令和5年調査では、退職給付制度がある企業の割合は、

企業規模退職給付制度がある企業
1,000人以上90.1%
300~999人88.8%
100~299人84.7%
30~99人70.1%

でした。

規模が小さくなるほど、退職給付制度がない企業の割合も高くなっています。

ただし、これだけで「大企業なら退職金○万円、中小企業なら○万円」と単純比較することはできません。

会社ごとの制度内容が違うためです。

中小企業の退職金はどれくらい?

中小企業の目安として参考になるのが、東京都の「中小企業の賃金・退職金事情」です。

令和6年版は、東京都内の従業員10~299人の中小企業を対象にしています。

大学卒のモデル退職金は次のとおりです。

勤続年数自己都合会社都合
10年124.2万円168.1万円
15年242.5万円312.5万円
20年415.4万円508.9万円
25年638.2万円742.4万円
30年899.9万円1,020.1万円
定年1,383.9万円

東京都のモデルでは、大学卒で定年まで勤務した場合の退職金は1,383.9万円となっています。

なお、これは全国の中小企業平均ではありません。

「学校卒業後すぐに入社し、標準的に勤務した場合」というモデルケースなので、自分の会社の退職金を直接示す数字ではない点に注意しましょう。

勤続10年では退職金はいくら?

東京都の中小企業モデルでは、大学卒で勤続10年の場合、

自己都合:約124万円
会社都合:約168万円

です。

「10年働けば1,000万円近くもらえる」というわけではありません。

退職金は一般に勤続年数が長くなるほど増え方が大きくなる制度が多いため、20年、30年と勤務した場合との差が大きくなります。

勤続20年では?

大学卒のモデルでは、

自己都合:約415万円
会社都合:約509万円

です。

勤続10年から20年になると、金額は単純に2倍ではなく、それ以上に増えています。

勤続30年では?

勤続30年では、

自己都合:約900万円
会社都合:約1,020万円

です。

中小企業でも勤続年数が長くなれば1,000万円前後になるケースがあります。

一方で、会社に退職金制度そのものがなければ、このモデル通りにもらえるわけではありません。

退職金が多い会社と少ない会社の違いは?

退職金の金額は主に次のような要素で変わります。

  • 勤続年数
  • 退職時の給与
  • 会社独自の退職金規程
  • 自己都合・会社都合・定年などの退職理由
  • 退職一時金だけか、企業年金もあるか
  • 確定給付企業年金や企業型DCなどの制度
  • 会社規模や業種

特に重要なのは勤務先の退職金規程です。

同じ年収・勤続年数でも、会社が違えば退職金が大きく違うことがあります。

自分の退職金はいくらか確認する方法

平均額より重要なのは、自分が実際にいくら受け取れるかです。

1.就業規則・退職金規程を確認する

会社に退職金制度がある場合、就業規則や退職金規程に計算方法が定められていることがあります。

2.人事・総務に確認する

退職予定がまだ先でも、会社によっては現時点での退職金見込額を確認できる場合があります。

3.企業年金や企業型DCも確認する

退職時に受け取るお金は「会社からの退職一時金」だけとは限りません。

企業年金や企業型確定拠出年金がある場合は、それらを含めて老後資金を考える必要があります。

「平均1,896万円」を老後資金として当てにしすぎない

平均1,896万円という数字だけを見て、

「自分も定年になれば2,000万円近くもらえる」

と考えるのは危険です。

実際には、

  • 退職金制度がない
  • 転職して勤続年数が短い
  • 自己都合退職
  • 中小企業勤務
  • 一時金ではなく企業年金が中心

といったケースもあります。

老後資金を考えるときは、

退職金+公的年金+預貯金+NISAなどの金融資産

をまとめて確認することが大切です。

よくある質問

退職金は会社員なら必ずもらえる?

いいえ。

法律上、すべての会社に退職金制度の設置が義務付けられているわけではありません。

まず勤務先に退職金制度があるか確認しましょう。

退職金の平均1,896万円は全会社員の平均?

違います。

厚生労働省の数字は、退職給付制度がある企業で勤続20年以上かつ45歳以上の退職者を対象とした調査です。

転職すると退職金は減る?

会社の退職金制度によりますが、勤続年数を基準に計算する制度では、1社での勤続期間が短くなることで退職金が少なくなることがあります。

中小企業でも1,000万円以上もらえる?

あります。

東京都の中小企業モデルでは、大学卒の定年時の退職金は1,383.9万円です。

ただし、会社や制度による差が大きいため、自社の規程を確認する必要があります。

まとめ

厚生労働省の調査では、大学・大学院卒(管理・事務・技術職)の定年退職者の平均退職給付額は1,896万円です。

ただし、勤続年数別では、

20~24年:約1,021万円
25~29年:約1,559万円
30~34年:約1,891万円
35年以上:約2,037万円

と大きな差があります。

東京都の中小企業モデルでは、大学卒の定年時は1,383.9万円でした。

結局、自分の退職金を知るには、

平均額を見る → 勤続年数を見る → 自社の退職金規程を確認する

という順番で考えるのが分かりやすいでしょう。

そして、退職金の額が分かったら次に確認したいのが、税金を引かれたあと実際にいくら残るのかです。

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参考・出典

厚生労働省「令和5年就労条件総合調査」
厚生労働省「平成20年就労条件総合調査」
東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和6年版)」

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