2025年度のふるさと納税をめぐり、都道府県別の収支を試算したところ、19都府県が「赤字」になったと報じられました。
最もマイナスが大きかったのは東京都で、その額は2,255億円です。
「自治体が赤字なら、ふるさと納税はなくなる?」
「今ふるさと納税をすると損する?」
「住民税の控除や返礼品はどうなる?」
と気になった人も多いでしょう。
先に結論をまとめると、
・今回の「赤字」は自治体側の収支を試算した数字
・利用者のふるさと納税の控除が突然なくなるわけではない
・返礼品が直ちになくなるという発表もない
・制度上の上限内で寄付すれば、基本的な税控除の仕組みは変わらない
・ただし自治体の税収流出や制度コストをめぐる議論は今後も続く可能性がある
という状況です。
また、今回の「赤字」は地方交付税による補填などを考慮していない試算です。
そのため、
「19都府県が実際の自治体会計でそのまま赤字になった」
という意味ではありません。
※本記事は2026年8月26日時点の総務省公表資料や報道内容をもとに整理しています。
- ふるさと納税で19都府県が「赤字」に
- 東京はなぜ2255億円もマイナスなの?
- 「赤字」は普通の財政赤字とは違う
- 全国ではどのくらい使われている?
- 市区町村では498自治体が赤字
- ふるさと納税をすると利用者も損する?
- 自分の住んでいる自治体が赤字でも控除される?
- 5万円寄付したら本当に2000円負担?
- 自治体が赤字になると返礼品はなくなる?
- 返礼品が豪華すぎるから赤字なの?
- なぜ都市部ほど赤字になりやすい?
- 赤字でも地方にとってはメリットがある?
- 東京に住んでいる人はふるさと納税をやめた方がいい?
- 赤字ならふるさと納税は廃止される?
- 2026年にふるさと納税する人が確認したいこと
- ふるさと納税の赤字と自分の家計は分けて考える
- よくある質問
- まとめ
ふるさと納税で19都府県が「赤字」に
2025年度のふるさと納税について、
受け入れた寄付額
-返礼品などにかかった経費
-他の自治体へ寄付した住民による住民税控除額
という形で都道府県別の収支を試算したところ、19都府県がマイナスになったと報じられました。
特に都市部でマイナスが目立っています。
主な自治体は、
東京都:約2,255億円
神奈川県:約846億円
大阪府:約489億円
埼玉県:約481億円
愛知県:約469億円
です。
一方で、黒字額が最も大きかったのは北海道で、約709億円でした。
つまり、ふるさと納税によって、
都市部から寄付先として人気のある地方自治体へお金が移動している
という構図が数字にも表れています。
東京はなぜ2255億円もマイナスなの?
東京都のマイナスが大きい主な理由は、都民が東京都以外の自治体へ多くふるさと納税をしているためです。
報道された試算では東京都について、
寄付の受け入れ額:約162億円
返礼品や仲介サイトなどの経費:約66億円
住民税控除による流出額:約2,351億円
となっています。
単純に計算すると、
162億円
-66億円
-2,351億円
=▲2,255億円
です。
東京都へ入ってくる寄付よりも、東京都民が他の自治体へ寄付したことで控除される住民税の方がはるかに大きいため、収支が大幅なマイナスになります。
「赤字」は普通の財政赤字とは違う
ここはかなり重要です。
今回報じられている「赤字」は、
ふるさと納税だけを切り出して計算した収支
です。
自治体の予算全体が2,255億円の赤字になったという意味ではありません。
また今回の試算では、地方交付税によって税収減の一部が補填される仕組みも考慮されていません。
そのため、
「東京都がふるさと納税のせいで2,255億円の財政赤字になった」
と単純に考えるのは正確ではありません。
ふるさと納税によって、
どれだけ寄付が入ったか
どれだけ経費がかかったか
どれだけ住民税が他自治体へ流出したか
を比較した数字と考えるのが適切です。
全国ではどのくらい使われている?
一方、ふるさと納税そのものの利用規模は拡大しています。
総務省によると、2025年度のふるさと納税の寄付額は、
1兆3,314億2,800万円
となりました。
前年度より4.6%増え、6年連続で過去最高を更新しています。
寄付件数も、
約5,963万件
で過去最多です。
つまり、
「自治体の赤字が問題になっているから、ふるさと納税の利用が減っている」
という状況ではありません。
むしろ制度の利用は過去最大規模まで広がっています。
市区町村では498自治体が赤字
都道府県だけではありません。
全国の市区町村について同じように試算すると、
1,741自治体のうち498自治体
がマイナスになったとされています。
一方で、
寄付を多く集める自治体
人気返礼品を持つ自治体
観光や地域ブランドが強い自治体
などでは、大きなプラスになるケースもあります。
ふるさと納税は全国の自治体が均等に利益を得られる制度ではなく、
「寄付を集められる自治体」と「住民税が流出する自治体」
との差が大きくなりやすい仕組みです。
ふるさと納税をすると利用者も損する?
今回自治体側の赤字が報じられたからといって、
利用者が突然損をするわけではありません。
現在のふるさと納税は、一定の上限内で寄付すると、
寄付額-2,000円
を基本として所得税・住民税から控除される仕組みです。
たとえば控除上限額の範囲内で5万円を寄付した場合、
50,000円-2,000円
=48,000円
が税控除の対象となるのが基本です。
実質的な自己負担は2,000円です。
※正確な控除額は年収、家族構成、各種所得控除などによって異なります。
自分の住んでいる自治体が赤字でも控除される?
基本的には今回の「赤字」と、個人が受ける控除は別の話です。
たとえば東京都に住んでいる人がふるさと納税をした場合でも、
「東京のふるさと納税収支が赤字だから控除額を減らす」
という仕組みにはなっていません。
制度上の条件を満たし、控除上限額以内で正しく手続きをすれば、現在のふるさと納税の税控除制度を利用できます。
重要なのは自治体の赤字額ではなく、
自分の控除上限額
です。
5万円寄付したら本当に2000円負担?
控除上限額の範囲内であれば、基本的にはそう考えられます。
たとえば、
寄付額:50,000円
自己負担:2,000円
控除対象:48,000円
です。
ただし、自分の控除上限額が3万円しかないのに5万円寄付した場合は話が変わります。
上限を超えた部分まで全額控除されるわけではありません。
そのため、
「みんな5万円なら2,000円負担」
というわけではありません。
ふるさと納税をする前に、自分の上限額を確認することが重要です。
自治体が赤字になると返礼品はなくなる?
今回の報道を理由に、
「返礼品がすぐになくなる」
という発表はありません。
現在も各自治体がさまざまな返礼品を用意しています。
ただし、ふるさと納税では以前から、
返礼品にかかる費用
仲介サイトの手数料
事務費用
などが自治体の負担になっていることが問題視されています。
2025年度の寄付額全体では、返礼品に約26.5%、その他の事務費用などにも一定の費用が使われています。
特にポータルサイト事業者への手数料については、自治体側から高すぎるという指摘も出ています。
今後、こうした費用の見直しが進む可能性はあります。
返礼品が豪華すぎるから赤字なの?
必ずしもそれだけが理由ではありません。
都市部では、
住民が他自治体へふるさと納税する金額
が非常に大きいためです。
たとえば東京都の場合、返礼品や事務費だけでなく、
他自治体へ寄付した住民の住民税控除
が非常に大きな金額になっています。
そのため、
「返礼品を減らせば東京の2,255億円が全部解決する」
という単純な話ではありません。
都市部から地方へ税源を移すという制度そのものの構造が大きく影響しています。
なぜ都市部ほど赤字になりやすい?
ふるさと納税では、住んでいる自治体以外へ寄付することができます。
人口が多く、所得税・住民税を納める人が多い都市部では、
他自治体へふるさと納税する住民の数
も多くなります。
すると本来その自治体へ入るはずだった住民税の一部が控除されます。
一方で都市部は、
農産物
海産物
地域特産品
などの返礼品で地方自治体と競争しにくいケースもあります。
その結果、
入ってくる寄付より出ていく税収の方が大きい
という状況になりやすくなります。
赤字でも地方にとってはメリットがある?
ふるさと納税には別の側面もあります。
地方自治体にとっては、
新しい税収を確保する
地域の商品を全国へPRする
地元企業への発注が増える
観光や移住のきっかけを作る
といった効果があります。
2026年8月26日に公表された大和総研の分析でも、ふるさと納税による返礼品の発注が、人口規模の小さい自治体の地域経済を下支えする効果が指摘されています。
つまり、
都市部では税収流出が問題になる一方、地方では地域経済を支える役割もある
という両面があります。
東京に住んでいる人はふるさと納税をやめた方がいい?
今回の数字だけを理由に、
「東京都民はふるさと納税をしてはいけない」
という制度ではありません。
利用するかどうかは個人の判断です。
一方、自分が住む自治体の住民税の一部が他自治体へ移る仕組みであることは理解しておいた方がよいでしょう。
ふるさと納税は単なる、
「2,000円で返礼品を買える制度」
ではありません。
本来住んでいる自治体へ納める税の一部について、寄付を通じて別の自治体を応援できる制度です。
赤字ならふるさと納税は廃止される?
2026年8月26日時点で、
今回の19都府県の赤字を理由にふるさと納税制度を廃止する
と正式決定されたわけではありません。
そのため、
「ふるさと納税がなくなる」
と断定することはできません。
ただし制度については以前から、
都市部の税収流出
返礼品競争
仲介サイトの手数料
自治体間の格差
などが問題として議論されています。
今回の数字をきっかけに、制度のあり方をめぐる議論がさらに強まる可能性はあります。
今後、総務省などから制度変更が発表された場合は、その内容を確認する必要があります。
2026年にふるさと納税する人が確認したいこと
今回のニュースを見て、ふるさと納税をやめるかどうかを考える前に、利用者は次の点を確認しましょう。
1.自分の控除上限額はいくらか
2.寄付先がふるさと納税の対象自治体か
3.ワンストップ特例を使えるか
4.確定申告が必要か
5.寄付の期限に間に合うか
特に重要なのは、
控除上限額
です。
上限を超えて寄付すると、その分は自己負担になります。
返礼品の金額だけを見て寄付額を決めるのではなく、自分の年収や家族構成などから上限を確認しましょう。
ふるさと納税の赤字と自分の家計は分けて考える
今回のニュースで混同しやすいのが、
自治体側の収支
と
利用者側の税控除
です。
自治体がマイナスになったという話は、
その自治体に入る寄付と、住民税控除によって出ていく税収などを比較したものです。
一方、個人のふるさと納税は、
自分がいくら寄付できるか
どれだけ控除されるか
という別の計算になります。
そのため、
「自治体が赤字=自分の控除も減る」
ではありません。
よくある質問
ふるさと納税で19都府県が赤字になった?
2025年度について、寄付受入額から経費や住民税控除による流出額を差し引いた試算では、19都府県がマイナスになったと報じられています。
東京はいくら赤字?
都道府県別の試算では東京都が約2,255億円のマイナスで最も大きくなりました。
東京が2255億円の財政赤字という意味?
違います。
ふるさと納税に関係する収支を切り出した試算で、東京都全体の自治体会計が2,255億円赤字という意味ではありません。
自治体が赤字だと住民の控除も減る?
現在の制度では、今回の赤字額を理由に個人の控除が減る仕組みではありません。
自己負担2000円は変わる?
控除上限額の範囲内など制度上の条件を満たす場合、基本的な自己負担2,000円の仕組みは変わっていません。
返礼品はなくなる?
今回の赤字報道を理由に、返礼品を廃止するという決定は発表されていません。
ふるさと納税は廃止される?
2026年8月26日時点で、今回の報道を理由に制度廃止が決定された事実はありません。
2026年もふるさと納税していい?
制度は利用できます。
ただし、自分の控除上限額を確認したうえで寄付することが重要です。
まとめ
2025年度のふるさと納税について都道府県別の収支を試算したところ、19都府県がマイナスになったと報じられました。
東京都は約2,255億円のマイナスで最大です。
ただし、この数字は、
寄付の受け入れ額
返礼品などの経費
住民税控除による税収流出
などをもとに計算したふるさと納税に関する収支です。
地方交付税による補填なども考慮されていないため、自治体全体の財政赤字と同じ意味ではありません。
また利用者にとっては、
自治体が赤字になった
=ふるさと納税の控除がなくなる
というわけではありません。
2026年8月26日時点では、上限内で正しく利用すれば、従来どおりふるさと納税の税控除制度を利用できます。
今回のニュースで見るべきポイントは、
「ふるさと納税が使えなくなった」
ことではなく、
「都市部から地方へどれだけ大きな税収が移動しているかが改めて明らかになった」
という点です。
制度の見直し議論が今後強まる可能性はありますが、利用者はまず自分の控除上限額と最新の制度を確認して利用することが大切です。
【参考・出典】
総務省「ふるさと納税に関する現況調査」
東京都主税局「『ふるさと納税』についてもう一度考えてみませんか?」
大和総研「ふるさと納税の現況」
2026年8月26日付 ふるさと納税の都道府県別収支に関する報道


