親から500万円をもらった場合、現金の手渡しであっても、原則として贈与税の対象になります。
暦年課税を使い、贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上の子が父母から500万円を受け取ったケースでは、基礎控除110万円を差し引いた後の贈与税は48万5,000円です。
ただし、受け取った人の年齢や贈与の目的、相続時精算課税を選択しているかなどによって税額は変わります。
※本記事は2026年8月時点の国税庁の情報をもとにしています。
親から500万円もらうと贈与税はいくら?
一般的な「暦年課税」では、1月1日から12月31日までの1年間に贈与された財産を合計し、そこから基礎控除110万円を差し引いて贈与税を計算します。
たとえば、18歳以上の子が父または母から500万円をもらった場合は、次の計算になります。
500万円-110万円=390万円
父母や祖父母などの直系尊属から18歳以上の子・孫への贈与には「特例税率」が適用されます。
390万円の場合は税率15%、控除額10万円なので、
390万円×15%-10万円=48万5,000円
となります。
つまり、500万円をそのまま受け取った場合、条件を満たす成人の子なら贈与税は48万5,000円が一つの目安です。
国税庁も500万円の特例贈与について、同じ計算例を示しています。
18歳未満なら税額は53万円になる
「親から子への贈与なら、誰でも同じ税率」とは限りません。
贈与を受けた年の1月1日時点で18歳未満の場合など、特例税率を使えないケースでは一般税率で計算します。
500万円をもらった場合は、
500万円-110万円=390万円
390万円×20%-25万円=53万円
となります。
同じ500万円でも、条件によって48万5,000円と53万円の差が生じます。
現金で手渡しなら贈与税はかからない?
現金で渡したから贈与税がかからない、ということはありません。
贈与税は、銀行振込か現金手渡しかではなく、個人から贈与によって財産を取得したかどうかで判断されます。
そのため、親が自宅に保管していた現金500万円を子に渡した場合でも、贈与として受け取ったのであれば贈与税の対象になり得ます。
「銀行を通していないから大丈夫」と考えるのは避けた方がよいでしょう。国税庁も、個人から贈与によって財産を取得した場合は贈与税の対象になるとしています。
110万円は「親1人につき」ではない
ここは間違えやすいポイントです。
暦年課税の基礎控除110万円は、贈与した人ごとではなく、贈与を受けた人が1年間にもらった財産の合計額に対して使います。
たとえば同じ年に、
- 父から100万円
- 母から100万円
を受け取った場合、合計は200万円です。
「父から110万円以下、母から110万円以下だから非課税」とはならず、
200万円-110万円=90万円
が基礎控除後の課税価格になります。
また、同じ親から複数回に分けても、1年間に受け取った金額を合計して判定します。
生活費や教育費なら500万円でも非課税になる?
親から受け取ったお金でも、通常必要と認められる生活費や教育費を、必要な都度受け取って直接使う場合には、贈与税がかからないことがあります。
たとえば学費、教材費、通常の生活費、治療費などが該当します。
ただし、「生活費として500万円をまとめてもらい、使わずに預金する」といったケースは別です。
国税庁は、生活費や教育費という名目でも、受け取ったお金を預金したり、株式や不動産などの購入資金に使った場合には、贈与税がかかるとしています。
つまり、「親からのお金=すべて非課税」ではなく、何のために受け取り、実際にどう使ったかが重要です。
相続時精算課税なら500万円の贈与税が0円になることも
親からまとまった金額を受け取る場合には、「相続時精算課税」という別の制度を選択できることがあります。
原則として、贈与年の1月1日時点で60歳以上の父母・祖父母などから、18歳以上の子・孫などへの贈与が対象です。
相続時精算課税では、2024年以降、年間110万円の基礎控除に加えて、累計2,500万円までの特別控除があります。
そのため、要件を満たし初めて相続時精算課税を選択するケースなら、500万円の贈与でその年に支払う贈与税が0円になる場合があります。
ただし、単純に「48万5,000円払わなくて済むから得」と考えるのは注意が必要です。
相続時精算課税は、贈与した親が亡くなったときに、一定の贈与財産を相続財産に加えて相続税を計算する制度です。
さらに、一度その贈与者について相続時精算課税を選択すると、その後は暦年課税に戻すことができません。
まとまった財産を贈与する場合は、目先の贈与税だけでなく、将来の相続まで含めて判断する必要があります。
2026年に500万円もらった場合、いつまでに申告する?
暦年課税で基礎控除110万円を超える贈与を受けた場合は、原則として財産を受け取った人が贈与税を申告・納付します。
2026年中に受けた贈与については、国税庁の案内では、
申告受付:2027年2月1日(月)から
申告・納付期限:2027年3月15日(月)まで
です。
贈与税の申告はe-Taxでも行うことができます。
期限までに申告しなかった場合などには、本来の贈与税に加えて加算税などがかかる場合があるため、110万円を超える贈与を受けたら早めに確認しておきましょう。
現金でも「いつ・いくらもらったか」を分かるようにしておく
銀行振込なら入出金履歴が残りますが、現金手渡しでは記録が残りにくくなります。
現金で贈与する場合でも、贈与した日、金額、贈与した人・受け取った人、目的などが後から確認できるよう整理しておくと安心です。
特に、何年にもわたって親から現金を受け取っている場合は、「今年はいくら受け取ったのか」が分からなくならないよう注意しましょう。
親から500万円もらった場合のチェックポイント
親からまとまったお金を受け取ったら、まず次の点を確認します。
- 今年1年間にもらった財産の合計はいくらか
- 110万円を超えていないか
- 贈与年の1月1日時点で18歳以上か
- 生活費・教育費として必要な都度使うお金なのか
- 暦年課税か相続時精算課税か
- 翌年の贈与税申告が必要か
500万円という金額だけを見るのではなく、誰から、何の目的で、いつ受け取ったかまで確認することが大切です。
よくある質問
親から100万円もらったら申告は必要?
暦年課税で、その年に受け取った贈与の合計が100万円だけであれば、原則として110万円の基礎控除以内です。
ただし、同じ年に別の人から贈与を受けている場合は、それらも合計して判定します。
父と母から110万円ずつもらえば非課税?
原則としてそうはなりません。
暦年課税の110万円は贈与者ごとではなく、受贈者1人について1年間の贈与合計額から控除します。
父から110万円、母から110万円なら合計220万円となります。
500万円を数年に分ければ贈与税はかからない?
毎年の贈与額が110万円以下なら暦年課税の基礎控除内となることがあります。
ただし、最初から「500万円を5年間に分けて毎年100万円ずつ渡す」といった約束の内容によっては、単純な毎年の贈与とは異なる判断が必要になることがあります。
まとまった金額を長期間に分けて贈与する場合は、事前に税務署や税理士へ確認すると安心です。
まとめ
親から500万円をもらった場合、一般的な暦年課税では110万円を差し引いて贈与税を計算します。
贈与年の1月1日時点で18歳以上の子が父母から500万円を受け取る代表的なケースでは、贈与税は48万5,000円です。
現金で手渡しした場合でも、贈与税の対象から自動的に外れるわけではありません。
一方、通常必要な生活費・教育費や相続時精算課税など、税金の扱いが変わるケースもあります。
500万円を受け取ったら、「現金だから大丈夫」ではなく、贈与の目的・年間合計額・課税方法を確認することが重要です。
【関連記事】
タンス預金はいくらまで?500万円を銀行に預けるとどうなる?税金・相続の注意点
参考・出典
国税庁「贈与税の計算と税率(暦年課税)」
国税庁「贈与税がかかる場合」
国税庁「贈与税がかからない場合」
国税庁「贈与税の申告手続」
国税庁「相続時精算課税の選択」


